インバスケットの基本知識

インバスケットとは、まだ決裁がされていない書類が入った「未処理箱」を意味します。
未開封のメールが溜まった受信箱をイメージすると分かりやすいでしょう。

制限された時間内に主人公の立場になりきり、お客様からのクレームや部下からの相談など、どの職場でも起こりうるような案件を、的確に、かつ迅速に、精度高く処理を行うことができるのかを測るシミュレーション演習です。

なぜ昇格試験や人事考課に導入されているのでしょうか

インバスケットはシミュレーションのツールです。
次のステップに進んでから“失敗”するのではなく、シミュレーションの中で、次位職に求められるスキルや能力を“模擬体験”しながら“測定”することが出来るからです。

スキルや能力の測定方法はどうなっているのでしょうか

インバスケットには「正解」はありません。「正解」とは、“結果”に対する評価のため、状況によっては「良い判断」だったのか、「悪い判断」だったのか、判定しづらいためです。
このため、インバスケットでは“判断の結果”ではなく、“判断に至るまでの経緯(プロセス)”を測定しています。経緯(プロセス)を見れば、途中のどの部分を改善すれば良いのかがわかり、改善につなげることができます。
つまり「どういった結果を出したか」ではなく「どのようにして結果を導いたか」が重要なのです。

トレーニングをすれば、何が得られるのでしょうか

インバスケットでトレーニングをすることで、得られる効果が4つあります。

  1. 優先順位設定力の向上
  2. 問題解決力の向上
  3. 洞察力の向上
  4. 判断に自信が付く

1.優先順位設定力の向上

“限られた時間の中”で多くの未処理案件を、的確に処理することが求められます。まずは「自分はどのようなことを優先的に考えているのか」という判断軸を見つけることから始め、さらには「次位職ではどのようなことを優先的に考えるべきなのか」を考え、あるべき優先順位設定の考え方を身につけます。

2.問題解決力の向上

問題解決力とは、目の前で起きている問題の対処だけではなく、二度と同じことが起きないようにするなどの本質的な問題を解決していくことが求められます。同じ問題集でも、何度も取り組むことで、問題発見→情報収集→対策方法の比較→関連性の考慮→意思決定といったプロセスを洗練していくことができます。

3.洞察力の向上

洞察力とは、個々の案件だけではなく、全体の流れや複数の案件との関連性などを把握し、意思決定を行ったり明確な計画を作成したりする能力です。実際のビジネスシーンでも、外部・内部環境を含めて、総合的に解決を図る能力が求められています。

4.判断に自信が付く

上記の3つの能力を意識してトレーニングを行うことで、総合的に判断に自信をつけることができます。

シミュレーションの場で訓練したことが、実際の仕事へ反映されていくことにより、次位職に備えることができるのがインバスケットの魅力です。

インバスケット試験とはどういったものがあるのでしょうか

インバスケット試験は、受験する対象者や評価する能力によってさまざまな形式があります。
回答方式で大別すると、「記述式」「マークシート式」が主流ですが、パソコン端末で回答を入力、送信する形式のものもあります。

記述式試験

受験者が、案件処理の判断・行動を回答欄に記入していくものです。 自由に回答を記入することによって、判断や行動の内容以外にも、文章での表現力やコミュニケーション能力など詳細に評価することが可能になります。

マークシート式試験

あらかじめ、回答の選択項目が提示されているので、記述式より難易度は低いように見られがちですが、インバスケット法による問題解決のプロセスを理解していないと回答に窮してしまいます。
まずは、記述式の問題集に取り組むことで能力強化をはかり、その後マークシート式問題集でトレーニングされることをおすすめします。

変形インバスケット

インバスケットに他の適正検査を組み合わせた「変形インバスケット」もありますが、インバスケット試験を変化させたものではありません。
どのような形式であれ、本質的な評価項目に変化はありませんので、「インバスケット・レポート」をはじめとした教材で基礎力をつけていきましょう。

インバスケット試験の内容とは

自身と異なる職種・職位が舞台

実は、あなた自身が現在就いている職種や職位の設定とは異なるシチュエーションが用意されていることがほとんどです。
同業・同職位の環境下だと、ある特定の受験者に優位になることや、その業界特有の問題解決法や専門技術による解決策が回答され、受験者自身の持つ本来の能力を正確に評価できないのです。
したがって、教材選びに迷われたらご自身の職種・職位と異なる舞台の教材を選択することをおすすめします。

時間が足りない

「時間が余った」と答える方は稀です。「すべての案件を処理できなかった」と多くの方が答えています。このことから、計画的に案件処理を進めるためにも時間配分の徹底がキーポイントとなります。
優先順位の強化をはかりつつ、複数の問題集を反復演習することをおすすめします。

複数の資料が添付されている

試験によっては、判断を下すために必要な資料がある一方で、案件解決に一切必要のないものもあります。
案件と照らし合わせて使用することがあるので、机の決まった場所に置くなど自身に合った取り組み方をトレーニングの中で意識、工夫することが必要です。

案件の関連性を読み解く

はじめに最適だと思い、下した判断が後に出てくる関連案件によって全く違う判断になってしまわないためにも、複雑に関連している案件を読み解き、総合的に解決する能力をつけるためトレーニングを重ねましょう。

優先順位を考える

前述のとおり、全ての案件をこなすには時間が足りません。
すぐに順番に案件処理を始める方も多いのですが、後に重要な案件が隠れていたり、関連している案件が出てくることがあります。
だからこそ「重要度」と「緊急度」を軸に優先順位をつけて取り組んでいく必要があります。
また、優先的に処理すべき案件を問われることもあるので優先順位設定もトレーニングに組み込むことが必要となります。
詳しくはテキスト型教材『優先順位設定』を参考にしてください。

まとめ

インバスケットとはどんなものなのか、ご理解いただけたでしょうか。
人によって強化すべきポイントやトレーニング方法が異なります。
必要な能力を得るには、ご自身に合った問題集で繰り返しトレーニングすることが重要となります。
教材選びにお悩みの方は、「おすすめ教材簡易診断」をご活用いただくか、「教材選びサポート」フォームから、お気軽にお問い合わせください。

これから皆さんのステップアップのお役にたちましたら、幸いでございます。